インコタームズ入門:FOB・CIF・EXWの違いを古着輸入の具体例でわかりやすく解説

執筆者:山田雄介(アジア古着市場アナリスト・貿易コンサルタント)


サワディークラップ。バンコク在住14年目、アジア古着マーケット情報局の山田雄介です。先週もチャトゥチャック市場で日本の若いバイヤーさんから「FOBとCIFの違いがいまいち分からなくて、結局言われるがままに契約してしまった」という相談を受けました。古着輸入を始めたばかりの方からよく聞く悩みです。

実際、伊藤忠商事のバンコク支店時代から数えると、私はインコタームズの解釈を巡るトラブルを何件も見てきました。中には、たった三文字(FOBかCIFか)の違いで200万円以上の予算オーバーになったケースもあります。逆に、正しく理解して使い分けたバイヤーさんは、同じコンテナ一本でも数十万円単位でコストを下げています。

この記事では、貿易の世界共通ルール「インコタームズ」の中でも特に古着輸入で頻出するFOB・CIF・EXWの3つに絞り、現地の商習慣と実際の取引事例を交えながら、初めての方でも迷わないレベルまで噛み砕いて解説します。読み終わる頃には、見積書を見ただけで「この条件は得か損か」がパッと判断できるようになっているはずです。

「安い見積もり」に飛びつく前に、コスト負担の境界線を確認。輸送ルートで見ると、どの条件が本当にお得かが一目瞭然です。

そもそもインコタームズとは何か

インコタームズ(Incoterms)は、国際商業会議所(ICC)が定めた貿易取引条件の国際ルールです。1936年に初めて制定され、現在の最新版は2020年1月1日に発効した「インコタームズ2020」になります。2026年4月時点でもこの2020年版が現行ルールで、次の改定は2030年前後と見られています。

参考までに、ICC公式の解説はInternational Chamber of Commerce のIncoterms 2020ページで確認できます。日本語で正確な情報を得たい場合は、ジェトロのインコタームズ2020解説ページが非常に分かりやすくおすすめです。

なぜ古着輸入でインコタームズの理解が必須なのか

私がパキスタンのカラチに駐在していた頃、現地パートナーから届いた見積書には決まって「USD 1.20/kg FOB Karachi」と書かれていました。この「FOB Karachi」という三文字が、実は契約の根幹を握る情報です。なぜなら、

  • 売主(パキスタンの古着業者)はどこまで責任を持つのか
  • 買主(日本のバイヤー)はどこから費用を負担するのか
  • 万が一コンテナが事故に遭ったら、誰がリスクを被るのか

この三つを一発で決めてしまうのがインコタームズだからです。逆に言えば、ここを曖昧にしたまま発注すると、後で「聞いていない費用」を請求されたり、保険金の請求先で揉めたりします。

インコタームズ2020の全11規則の全体像

インコタームズ2020には全11規則があり、大きく2つに分類されます。

分類該当規則主な用途
いかなる輸送手段にも適した規則(7規則)EXW、FCA、CPT、CIP、DAP、DPU、DDP航空・トラック・コンテナ船など複合輸送向け
海上および内陸水路輸送のための規則(4規則)FAS、FOB、CFR、CIF在来船・バルク貨物向け

ジェトロの解説によると、2010年版にあったDATがDPUに置き換わったのが2020年版の大きな変更点です。古着輸入の現場で日常的に使われるのは、この11規則のうちEXW・FOB・CIFの3つに集中しています。理由は単純で、サプライヤー側が見積書のフォーマットとしてこの3つを長年使い続けているからです。

EXW(工場渡し):売主の負担が最も軽い条件

EXWは「Ex Works」の略で、日本語では「工場渡し」と呼びます。インコタームズ11規則の中で、売主の責任範囲が最も狭い条件です。

EXWの定義と費用・危険負担の境界

EXWでは、売主は自社の工場や倉庫の指定場所で商品を引き渡せば、それで義務を果たしたことになります。買主は商品をピックアップした瞬間から、

  • 工場から港までの陸送
  • 輸出通関手続き
  • 海上運賃と保険料
  • 仕向地での輸入通関と関税
  • 倉庫までの国内輸送

これらすべての費用と危険を負担します。売主は基本的に「商品を倉庫に置いておく」だけで責任が完了する、極めてシンプルな条件です。

古着輸入での具体例:カラチ郊外の選別工場でのピックアップ

私がカラチ駐在時代に経験した話を一つ。あるバイヤーさんがパキスタンの古着業者から「EXW Karachi factory, USD 0.95/kg」という見積もりをもらいました。一見、FOBやCIFよりもkg単価が安く見えます。実際、買主が興奮して「これで決めたい」と連絡してきました。

しかし冷静に内訳を試算したところ、

  • カラチ郊外の工場から港までのトラック輸送費
  • 輸出通関のための代理店手数料
  • 港湾使用料とTHC(ターミナルハンドリングチャージ)

これらを買主側で全部手配する必要があり、結局FOB価格と比較して逆に高くなることが判明しました。さらに、パキスタンの輸出通関手続きを日本のバイヤーが現地代行業者を介してやるのは、言語と商習慣の壁で想像以上にハードです。最終的にFOB条件に変更してもらい、kg単価は0.05ドル上がりましたが、トータルコストは下がりました。

EXWを選ぶべきケースと避けるべきケース

私の経験上、EXWは次のような場面では有効です。

  • 同じ国内の複数業者から商品をかき集めて、現地のフォワーダーに一括して輸出を依頼するケース
  • 現地に駐在員や信頼できる代理店がいて、輸出実務を代行してもらえるケース
  • バイヤー自身が現地の港と通関業者に精通しているケース

逆に、初めての国・初めての業者と取引する場合は、EXWは避けたほうが無難です。輸出通関のリスクを買主が全部背負う条件なので、現地事情に詳しくないと「コンテナが港で止まったまま動かない」事態になりかねません。

FOB(本船渡し):海上輸送の伝統的な定番

FOBは「Free on Board」の略で、日本語では「本船渡し」と訳されます。日本の輸入実務で最も馴染み深い条件と言っても過言ではありません。

FOBの定義と危険移転点

FOBでは、売主は商品を指定された船積港まで運び、輸出通関を済ませ、本船に積み込むところまで責任を負います。商品が本船の船上に置かれた瞬間に、危険負担と費用負担が売主から買主に移ります。

具体的に売主の責任範囲は以下の通りです。

  • 商品の梱包・出荷
  • 工場から船積港までの国内輸送
  • 輸出通関手続き
  • 港湾使用料、本船積み込み費用

買主の責任範囲は、

  • 海上運賃
  • 海上保険料
  • 仕向港での荷揚げ費用
  • 輸入通関と関税
  • 倉庫までの国内輸送

このようにきれいに役割分担される点が、FOBが長年愛用されてきた理由です。

古着輸入での具体例:バンコク港FOBでの取引

タイの古着業者と取引する際の典型的な見積もりは、「USD 1.50/kg FOB Bangkok」のような形式です。これは、

  • 商品の梱包と工場からバンコク港までの国内輸送費
  • タイ側の輸出通関手数料
  • バンコク港での本船積み込みまでの諸費用

ここまでが売主負担で、海上運賃以降は買主負担という意味になります。

実際の流れを追うと、現地業者がベール(圧縮された古着の梱包)をトラックで港まで運び、輸出通関を済ませてコンテナに詰め、本船に積み込んだ時点で売主の責任は終了します。日本側のバイヤーは、自分で選んだフォワーダー(通関業者・物流会社)を通じて、バンコクから日本までの海上輸送と保険を手配する流れです。

FOBのメリットとデメリット

私が長年バイヤーさんたちにFOBを推奨してきた理由は、コスト透明性の高さにあります。

メリットは次のとおりです。

  • 海上運賃を自分で交渉でき、複数のフォワーダーから相見積もりを取れる
  • 海上保険の補償内容を自分で選べる(破損リスクの高い古着には手厚い保険が必要)
  • 同じ船で複数業者から仕入れた貨物を混載しやすい

デメリットもあります。

  • 自分でフォワーダーを手配する手間がかかる
  • 貿易実務の基本知識が必要
  • 為替リスクや運賃変動リスクを直接受ける

正直なところ、これらのデメリットは経験を積めば自然と解消されます。最初の3〜5回の取引で慣れてしまえば、あとはFOBのほうが圧倒的にコストコントロールしやすくなります。

コンテナ輸送ではFCAが推奨される理由

ここで一つ、現場の人にあまり知られていない重要なポイントをお伝えします。実はインコタームズ2020では、コンテナ輸送についてはFOBではなくFCA(運送人渡)の使用が推奨されています。

理由は、コンテナ貨物の場合、商品は実際にはコンテナヤード(CY)で運送人に引き渡されるためです。本船積み込みよりも前の段階で売主の手を離れているのに、FOBの定義上は「本船積載まで売主が危険負担」となるため、CYから本船までの間に事故が起きると責任の所在が曖昧になります。

ジェトロのコンテナ輸送の貿易取引条件でも、コンテナ輸送ではFCA・CPT・CIPの使用が推奨されると明記されています。とはいえ、現地の業者は今もFOBの呼び方に慣れていて、見積書もFOBで出してきます。実務的には「FOBで契約しているけど、実態はFCAに近い」という運用が多いのが現状です。

CIF(運賃保険料込み):見積もりはシンプル、ただし注意点も

CIFは「Cost, Insurance and Freight」の略で、「運賃保険料込み」と訳されます。FOBと並んで古着輸入で頻出する条件です。

CIFの定義と費用範囲

CIFでは、売主はFOBの責任範囲に加えて、仕向港までの海上運賃と海上保険料も負担します。一方で、危険負担の移転点はFOBと同じく「本船積載時」のままです。ここがCIFの重要な特徴になります。

つまり、

  • 費用負担:仕向港まで売主負担
  • 危険負担:船積港の本船積載時に買主に移転

この食い違いが、CIFを理解する上での最大のポイントです。商品が船積港から仕向港までの航海中に事故に遭った場合、運賃や保険料を払っているのは売主ですが、損害賠償を請求する権利は買主側にあります。だからこそ売主が手配した保険証券を、買主に渡す必要があるわけです。

古着輸入での具体例:CIF Yokohamaでの取引

「USD 2.10/kg CIF Yokohama」という見積もりがタイの業者から来たとします。この場合、kg単価には次の費用がすべて含まれています。

内訳費用負担者備考
商品代金売主古着のkg単価
現地国内輸送売主工場→バンコク港
輸出通関売主タイ側
本船積み込み売主港湾諸費用込み
海上運賃売主バンコク→横浜
海上保険料売主最低補償額(ICC C条件)
横浜港での荷揚げ買主THC等
輸入通関・関税買主HSコード6309等
国内輸送買主横浜→自社倉庫

CIFの便利な点は、買主が「横浜港に着くまでのトータルコスト」を一発で把握できることです。複数の見積もりを比較するときに、CIFで揃えてもらえば単純比較ができます。

CIFを選ぶメリット

私の周囲でCIFを好んで使うバイヤーさんには、次のような共通点があります。

  • 貿易実務がまだ不慣れで、フォワーダー選びに自信がない
  • 一度の取引量が少なく、自分で手配するほどのスケールメリットがない
  • 海上運賃の相場や為替変動を気にせずに仕入れを進めたい

特に、初めての国から初めての業者と取引する場合、まずCIFで取引してみて、貿易の流れを経験してからFOBに切り替えるという方法は王道のステップアップです。

CIFの落とし穴:輸出者のマージンが上乗せされている

ただし、CIFには大きな落とし穴があります。それは、売主が手配する運賃と保険料には、ほぼ確実に売主の利益(マージン)が乗っているという点です。

私がカラチ駐在時代に実際に見た話ですが、あるパキスタンの業者がCIF Yokohamaで見積もったコンテナの内訳を、現地の信頼できるフォワーダー経由で調べたところ、実際の海上運賃よりも約300ドル高い金額が乗っていました。20フィートコンテナ一本あたりで300ドルですから、年間20本仕入れるバイヤーにとっては年間6,000ドル(約90万円)の差です。

しかも厄介なのは、この上乗せ額は見積書には一切表示されない点です。「CIFはトータル金額しか書かれていないから分からない」というのが、海外サプライヤーがCIFを好む裏の理由でもあります。

ですから、ある程度取引量が増えてきたら、CIFからFOBへの切り替えを検討する価値は十分にあります。私のクライアントの中には、年間取引量が30本を超えたタイミングでFOBに切り替え、年間コストを150万円下げた方もいらっしゃいます。

現地と日本の両面をサポートする会社を活用するという第三の選択肢

「FOBに切り替えたいけれど、現地でフォワーダーを探すのも、日本側の通関業者を選ぶのも自信がない」という方も多いと思います。私自身、相談者にはまずこの不安をどう解消するかを一緒に考えます。

その際にお伝えしているのが、現地と日本の物流の両方に精通した専門サポート会社を活用するという選択肢です。古着仕入れの分野では、京都に本社を構えるNIPPON47のように、タイ・パキスタン・ドバイに自社拠点を持ち、現地でのベール仕入れから日本側の輸入通関までを一貫してサポートしてくれる会社があります。私もバンコクで実務を見ていますが、現地ヤードでの検品からフォワーダー選定、輸入通関までを同じチームが担当してくれるため、CIF特有の「中間マージンが見えない」状態を回避しつつ、FOB相当のコスト透明性を確保しやすくなります。

特に、現地に駐在員を置けない中小規模のバイヤーさんにとっては、自社で貿易実務を抱え込むかCIFに頼るかの二択以外に、こうした第三の選択肢があるという事実だけでも知っておいて損はありません。タイのロンクルアやパキスタンのカラチに直接買い付けに行くのが難しい時期でも、現地のサポート会社経由でFOBに近い条件と透明性を実現できる時代になっています。

EXW・FOB・CIFを一覧で比較

ここまで3つの条件を個別に解説してきましたが、最後に一覧表で整理します。

項目EXWFOBCIF
日本語訳工場渡し本船渡し運賃保険料込み
売主の責任範囲工場での引渡しまで船積港の本船積載まで仕向港までの運賃・保険料
危険移転の時点工場引渡し時本船積載時本船積載時
輸出通関の手配買主売主売主
海上運賃の負担買主買主売主
海上保険の手配買主買主売主
輸入通関・関税買主買主買主
主な利用場面現地に強いコネがある時貿易実務に慣れたバイヤー初心者・小ロット取引
コスト透明性高い高い低め

どの条件を選ぶべきか:3つの判断軸

私がコンサルティングの現場で必ず聞く質問があります。それは次の3つです。

  • 取引相手の国・業者との関係性は何年目か
  • 年間の取引量はコンテナ何本相当か
  • 自社内に貿易実務に詳しい担当者がいるか

この3つの答えによって、最適な条件は変わります。一般的な目安としては、

  • 初取引・年間5本未満・実務担当不在 → CIF
  • 取引2年目以降・年間5〜20本・実務担当あり → FOB
  • 現地法人や駐在員あり・年間20本以上 → FOB or EXW

このイメージで考えていただくと判断しやすいと思います。

古着輸入で実際にあったトラブル事例

知識として理解するだけでなく、現場で何が起きるのかを知っておくと、自分が同じ状況になったときに慌てずに済みます。私が14年間バンコクで見てきた中から、代表的な3つの事例を紹介します。

事例1:CIF契約だったが結果的に200万円割高だった

ある関西の古着セレクトショップオーナーさんが、タイ業者からCIF Kobe条件で月に1本ずつ仕入れていました。3年目に経理から「海上運賃って本当はいくらなんですか」と聞かれて初めて、自分で日本のフォワーダーに相見積もりを取ったのです。

結果、コンテナ1本あたり海上運賃で約4万円、保険料で約1.5万円、合計5.5万円ほど上乗せされていたことが判明しました。3年間で合計約200万円の差です。すぐにFOB契約に切り替え、現在は年間60万円ほどコストが下がっています。

事例2:EXWで通関書類トラブル

別のケースでは、九州のヴィンテージショップオーナーさんがパキスタン業者からEXW Karachi factoryで仕入れようとしました。kg単価が魅力的だったからです。

しかし実際にやってみると、輸出通関に必要な原産地証明書(C/O)を発行できる業者が限られており、通関代行業者も日本のバイヤーとは取引したがらない事情がありました。結局、通関で2週間以上止まり、その間のコンテナ滞留費(デマレージ)だけで30万円近い追加コストが発生しました。

このバイヤーさんは現在、同じパキスタン業者とFOB Karachi条件で取引を続けています。kg単価は0.08ドル上がりましたが、トラブルは一切ありません。

事例3:FOB契約でCY事故が発生

3つ目は、コンテナ輸送でのFOBの落とし穴に関する事例です。バンコクのある業者から日本のバイヤーへFOB Bangkok条件で出荷した際、コンテナがCYから本船に運ばれる途中のクレーン操作ミスで、コンテナの一部が破損し、中身の古着の一部に水濡れ被害が出ました。

ここで揉めたのが「事故時点で危険は誰が持っていたか」という問題です。FOBの定義では本船積載時が境界ですから、CYでの事故は売主側の責任になるはずでした。しかし売主側は「コンテナを運送人に引き渡した時点で責任は終了している」と主張し、最終的に協議の末に折半となりました。

このトラブルを受けて、私はクライアントには「コンテナ輸送ではインボイスや契約書に『FCAではなくFOB条件であること』を明記し、CY事故時の責任分担を別途書面化する」ことをアドバイスしています。

古着輸入で押さえたいインコタームズ以外のコスト

インコタームズの理解は重要ですが、それだけで仕入れの総コストは決まりません。ここで最後に、見積書には現れない関連コストもざっと整理しておきます。

関税:HSコード6309の取り扱い

中古衣類は日本の関税率表ではHSコード6309.00に分類されます。日本の税関の品目分類とHSのページで確認できます。

関税率は基本的に次の通りです。

  • 課税価格20万円以下:簡易税率5%
  • 課税価格20万円超:一般税率5.8%

タイは日本とJTEPA(日タイ経済連携協定)を結んでおり、原産地証明書があれば一部品目で関税が無税になる制度があります。ただし、古着の場合は「原産国がタイである」ことを証明するのが事実上難しく、実務上はEPA税率の適用を受けないケースがほとんどです。

海上運賃の最近の動向

2024年から2026年初頭にかけて、紅海情勢の悪化やパナマ運河の渇水問題で海上運賃は変動が激しい状態が続きました。2026年4月時点では一時的に落ち着いている時期に入っていますが、相場の振れ幅は大きく、フォワーダーから取得する運賃は数か月単位で確認するのが安心です。FOBで取引している方は、半期に一度は複数フォワーダーから相見積もりを取り直すことを推奨します。

通関手数料・その他諸費用

日本側で発生する主な費用は次のとおりです。

  • 通関手数料:1万〜2万円程度
  • 取扱手数料:5,000円〜1万円程度
  • 港湾使用料・THC:コンテナ1本あたり数万円
  • 国内陸送費:到着港から自社倉庫までの距離による

これらは取引条件にかかわらず買主が負担するため、CIFで仕入れていても「インコタームズで決めた金額+これら諸費用」がトータルコストになる点を忘れないでください。

まとめ

ここまで、インコタームズ2020の中でも古着輸入で頻出するEXW・FOB・CIFの3条件について、現地での実例を交えながら解説してきました。要点を整理すると、

  • EXWは売主の責任が最も軽く、買主が現地事情に精通している場合のみ有効
  • FOBは海上輸送の定番で、貿易実務に慣れたバイヤーに最もコスト効率が高い
  • CIFは初心者向けで便利だが、運賃・保険料に売主のマージンが乗っている

この三点を頭に入れておくだけで、見積書の見方が変わります。

私自身、伊藤忠商事時代から数えて20年以上にわたって貿易の現場に関わってきましたが、たかが三文字、されど三文字です。FOBかCIFかの選択で、年間100万円以上のコスト差が出ることは決して珍しくありません。最初は難しく感じるかもしれませんが、一度仕組みを理解してしまえば、あとは経験を積むだけです。

タイやパキスタンの業者と取引する際は、まずはCIFで一度経験を積み、流れが分かってきたらFOBに切り替える。そして信頼できる現地パートナーが見つかったらEXWも視野に入れる。このステップを意識して進めていただければ、必ずコストとリスクのバランスが取れた取引体制が築けます。

「ビジネスは人と人との関係から」というのが私の信条ですが、その関係を支えるのは正確な知識と数字です。皆さんが古着輸入の世界で長く成功されることを、バンコクから心より応援しています。マイペンライ、焦らず一歩ずつ進めていきましょう。


執筆者プロフィール
山田雄介(42歳)
アジア古着市場アナリスト・貿易コンサルタント
タイ・バンコク在住14年目、元伊藤忠商事、パキスタン駐在経験あり
専門分野:タイ・パキスタン・バングラデシュの古着市場
現地ネットワーク:古着卸業者50社以上との取引関係