タイ古着の価格相場2026年版:カテゴリ別・グレード別の卸値をバーツと円で徹底比較

サワディークラップ!バンコクから山田です。アジア古着市場のアナリストとして、タイの卸業者50社ほどと日々やり取りしながら14年目を迎えました。

最近、日本のバイヤーさんから「ネットで調べた価格と現地の実勢が全然違う」という相談をよく受けます。無理もありません。ネット上の情報は1バーツ4.2円時代の換算のままだったり、観光客向けの小売価格と卸値が混ざっていたりと、そのまま事業計画に使えるものがほとんどないのです。

この記事では、2026年7月時点の実勢レートでカテゴリ別・グレード別の卸値を整理しました。バーツと円の両方で示しますので、「結局1枚いくらで仕入れられるのか」という疑問に、現場の数字でお答えします。

2026年のタイ古着価格相場はどう動いたか:バーツ高と世界的な古着需要増の影響

先に結論から言うと、2026年のタイ古着仕入れは「バーツ建て価格の上昇」と「円安バーツ高」のダブルパンチで、体感コストは数年前の3〜4割増しです。それでも欧米古着の直接仕入れと比べれば依然として優位性はあります。まずは前提となる相場環境から整理します。

1バーツ4.9円時代の仕入れコスト感覚

2026年7月時点の為替レートは1バーツ=約4.86円。本記事では計算しやすさを優先して、1バーツ=4.9円で統一して換算します。

数年前まで多くのバイヤーが使っていた「1バーツ=4.2円」の感覚は、もう捨ててください。同じ100バーツのTシャツでも、4.2円換算なら420円、4.9円換算なら490円。バーツ建ての値札が1バーツも動いていないのに、円建てコストは17%増えている計算です。

貿易の実務では、この為替差が利益率を直撃します。私が商社時代に叩き込まれたのは「仕入れ判断は必ず自国通貨の着地価格で行う」という原則でした。現地で「安い!」と感じた金額を、その場でスマホの電卓で円換算する。地味ですが、これを徹底するだけで衝動買いによる失敗はかなり減ります。

相場を押し上げる需要側の要因:世界の古着市場は5年で1.8倍ペース

バーツ建ての卸値自体も、じわじわ上がっています。背景にあるのは世界的な古着需要の拡大です。

thredUPの2024年報告書を紹介したELEMINISTの記事によると、世界のセカンドハンドアパレル市場は2023年に1,970億ドル(前年比18%増)に達し、2028年には3,500億ドルまで成長すると予測されています。日本国内も同様で、リユース経済新聞の市場規模推計では2024年のリユース市場は3兆2,628億円。衣料・服飾品とブランド品を合わせたリユースファッション市場は、初めて1兆円を超えました。

売り先の市場が伸びれば、仕入れ側の競争も激しくなります。ここ数年、ロンクルアやバンコクの卸倉庫で見かける外国人バイヤーは明らかに増えました。日本人だけでなく、韓国、中国、欧米からのバイヤーが同じ商品を取り合う構図です。良い商品への需要が増えれば、一次卸の値付けも強気になる。これが2026年の相場上昇の基本構造です。

現地業者が語る2026年上半期の市況

チャトゥチャック近くで20年以上卸をやっている取引先のソムチャイさん(仮名)は、先月こう話していました。「良いベールはコンテナが着いた日のうちに買い手がつく。昔は1週間は倉庫に置いてあったのにね」。

実際、今年の上半期は欧米からのコンテナ到着後、状態の良いベールから順にあっという間に消えていきます。私も4月のソンクラーン(タイ旧正月)明けに倉庫を回りましたが、休業期間中に物流が止まっていた反動で、再開直後は取り合いに近い状態でした。

一方でソムチャイさんは「日本人バイヤーは品質にうるさいが、長期的な関係を重視してくれるから信頼できる」とも言います。相場が上がっている今こそ、一見の客より顔なじみが優先される。タイの商売はそういう世界です。

タイ古着のグレード分類とは:A品・B品・C品の選別基準と価格差

卸値の話をする前に、避けて通れないのがグレードの話です。同じ「プリントTシャツ」でも、グレードが違えば価格は数倍変わります。ところが、このグレードの中身をきちんと説明した日本語の情報はほとんど見当たりません。現地の選別倉庫で実際に運用されている基準を解説します。

現地倉庫が使う選別基準:何をもってA品・B品・C品とするか

バンコク周辺の選別倉庫では、輸入されたベールを開封し、熟練スタッフが1枚数秒のスピードで振り分けていきます。私が普段見ている現場では、おおむね次の3段階です。

  • A品:目立つダメージ・シミ・穴がなく、洗えばそのまま店頭に出せる状態
  • B品:小さなシミ、ほつれ、色褪せ、首回りのヨレなどがあり、ワケあり販売やリメイク素材向け
  • C品:ダメージが大きく衣類として販売困難。ウエス(工業用雑巾)やリサイクル原料行き

ポイントは、この選別が「ブランド価値」とは別軸で行われることです。リーバイスのヴィンテージでも穴が開いていればB品扱いですし、ノーブランドでも状態が良ければA品です。ブランドやデザインの目利きは、グレード選別のあとにバイヤー側がやる仕事。だからこそ、B品の山からリメイク需要のある1枚を抜ける人が利益を出せるわけです。

グレード間の価格差は2〜5倍:同じTシャツでもここまで違う

では、グレードで価格はどれだけ変わるのか。私の取引経験では、同カテゴリのB品はA品の3分の1から半値が目安です。C品になるとキロ単位のウエス価格まで落ちるので、もはや衣類の値段ではありません。

ベールで買う場合は、この構造が「A品率」という形で価格に反映されます。同じTシャツベールでも、「A品率高め」をうたう選別済みベールは1kgあたりの単価が上がり、未選別に近いベールは安い代わりにB品・C品の混入率が上がる。現地でよく聞く水準感として、一般的なベールでもB品が3割程度混ざるのは珍しくありません。

つまり「安いベール」は本当に安いのではなく、ハズレを引くリスクを価格に織り込んでいるだけです。ベール単価とA品率をセットで見ないと、実質的な1枚あたりコストは比較できません。

「Aグレード」表記の落とし穴:業者ごとに基準は違う

ここで注意してほしいのが、グレード表記に業界統一の規格は存在しないという点です。同じ「Aグレード」でも、業者Aと業者Bでは中身が違います。

先日も、日本の若いバイヤーさんから「Aグレードと言われて買ったベールを開けたら、3分の1がシミだらけだった」という相談を受けました。残念ながら、よくある話です。悪意のある業者ばかりではなく、単純に選別基準が緩い業者もいます。

対策はシンプルで、初回取引では必ずサンプル確認か開封立ち会いをすること。そしてもうひとつ、タイならではの話をすると、この国の商売は「ナムチャイ」(思いやりの心)を大切にする文化の上に成り立っています。何度も顔を出し、小さな取引を重ねて信頼関係ができると、業者側も「この人にはいい物を出そう」となる。グレードの安定供給は、契約書ではなく人間関係で担保されるのがタイ流です。14年やってきて、これは本当に変わりません。

カテゴリ別のタイ古着卸値一覧:Tシャツ・デニム・ミリタリーはいくらで仕入れられるか

ここからが本題です。バンコク市内の卸市場・倉庫でのピック買い(1枚ずつ選別して買う方式)を基準に、2026年上半期の実勢レンジをカテゴリ別にまとめました。円換算はすべて1バーツ=4.9円です。

カテゴリA品の卸値(バーツ)円換算B品・セール品(バーツ)円換算
プリントTシャツ(無地・一般柄)80〜150約390〜740円20〜50約100〜245円
バンドT・キャラT(人気柄)300〜1,000超約1,470〜4,900円超100〜300約490〜1,470円
ノンブランドデニム40〜150約195〜740円20〜60約100〜295円
リーバイス501(レギュラー)250〜400約1,225〜1,960円100〜200約490〜980円
ミリタリージャケット400〜800約1,960〜3,920円150〜400約735〜1,960円
スウェット・パーカー100〜300約490〜1,470円50〜150約245〜735円
ナイロン・ワーク系ジャケット300〜800約1,470〜3,920円100〜300約490〜1,470円

あくまで実勢レンジであり、市場・業者・時期で上下します。それでも「この幅から大きく外れた値段を提示されたら交渉か撤退」という基準線として使ってください。

Tシャツ・シャツ類の卸値相場:プリントTは1枚100バーツ前後から

軽衣料の代表格であるプリントTシャツは、ピック買いで1枚100バーツ前後(約490円)が基準線です。パタヴィコンのような市場の山積みセール品なら1枚5〜50バーツ(約25〜245円)の世界もありますが、この価格帯はB品混じり前提で、選ぶのに体力を使います。

面白いのはプレミア柄の存在です。バンドT、アニメT、企業物の人気柄は、現地業者も相場をよく研究していて、良い柄は最初から300バーツ以上の別枠で値付けされています。「タイなら何でも安い」時代は終わりました。それでも日本の店頭価格と比べればまだ差はあるので、目利きができる人ほど利幅を取れるカテゴリです。

デニム・重衣料の卸値相場:リーバイス501は1本300バーツが基準線

デニムはノンブランドなら1本40バーツ(約195円)から見つかります。リーバイスになると話は別で、レギュラーの501はロンクルアの一次卸なら1本150〜300バーツ、バンコク市内の卸では250〜400バーツ。体感の中心値は300バーツ(約1,470円)です。505など他モデルは501より高く付くケースもあれば、逆にダブつくこともあり、モデルごとの需給で動きます。

66前期や赤耳といった本格ヴィンテージは、もはやこの相場表の外の世界です。現地業者もヴィンテージ相場は熟知していて、掘り出し物はほぼありません。あるとすれば、選別が追いついていないB品の山の中です。

デニムでもうひとつ忘れてはいけないのが重量。1本600〜700gあるデニムは、輸送コストが利益を圧迫します。この点は後半の日本着原価のセクションで詳しく計算します。

ミリタリー・ワーク・アウター類の卸値相場:ジャケットは500バーツから

ミリタリー(M-65タイプ、カーゴパンツ)、ワーク系(カーハートなど)、ナイロンジャケットといったアウター類は、バンコク市内の卸エリアでジャケット500バーツ(約2,450円)からが目安です。状態とブランド次第で800バーツ程度まで上がります。

ここは私が「狙い目」と言い続けているカテゴリです。理由は単純で、常夏のタイでは冬物アウターの現地需要が薄いから。Tシャツのように現地の若者と取り合いにならないぶん、良品が比較的安く残ります。日本の秋冬シーズンに向けて夏場に仕込む。この時間差こそ、日本人バイヤーがタイで持てる数少ない構造的アドバンテージだと思っています。

ベール買い・キロ買い・ピック買いの価格比較:仕入れ形態で単価はこう変わる

同じ商品でも、買い方によって単価は大きく変わります。タイの古着取引は大きく分けて、圧縮梱包された固まりごと買う「ベール買い」、重量単位の「キロ買い」、1枚ずつ選ぶ「ピック買い」の3形態。それぞれの相場と使いどころを整理します。

ベール買いの相場:Tシャツベールは1kgあたり300バーツから

ベールとは、古着を45kgや100kgに圧縮梱包した取引単位のことです。Tシャツ系ベールの単価は、グレードで大きく2つの水準に分かれます。未選別から標準グレードなら1kgあたり70〜150バーツ、A品率の高い選別済みベールなら1kgあたり300バーツ前後が目安です。選別済みの300バーツで計算すると、円換算で1kg約1,470円。Tシャツ1枚を約200gとすると、1枚あたり実質60バーツ(約295円)という計算になります。

下を見れば、プリントT主体の未選別ベールが1ベール1,000バーツ程度、1枚換算で数バーツという底値の世界も存在します。ただし前述のとおり、安いベールはB品混入率とのトレードオフです。現場では「ベールガチャ」なんて呼ばれ方もしますが、実態はガチャというより確率の織り込み。A品率とベール単価を掛け算して、実質的なA品1枚あたりコストで比較するのが正しい買い方です。

円建ての目安としては、45kg級の未選別ベールで1万5,000〜3万3,000円程度、A品率の高い選別済みベールなら6万円を超える水準感になります。

ピック買いの単価と使いどころ:高単価でも不良リスクゼロ

ピック買いはベールの2〜5倍の単価になりますが、1枚ずつ自分の目で確認して買うので、B品を掴まされるリスクがありません。

どちらが得かは、資本と販売戦略次第です。判断の目安を挙げます。

  • 初回渡航や小資本(仕入れ予算20万円以下)なら、ピック買いが合理的
  • 単価の高いブランド物・ヴィンテージ狙いは、必ずピックで現物確認
  • 販売チャネルが太く、B品の出口(ワケあり販売・リメイク)を持っているならベール買いで単価を下げる
  • 迷ったら「販売単価×想定A品率」でベールとピックの実質原価を比較する

私の感覚では、最初の2〜3回はピックで相場観と品質基準を体に入れて、それからベールに移行するのが失敗の少ない順序です。

ロット交渉で単価はどこまで下がるか:現地商習慣と値引きの実勢

タイの卸市場では、値札はあってないようなもの。交渉が前提です。とはいえ「どこまで下がるのか」を書いた情報はほとんどないので、私の取引経験からの実勢を書きます。

少量のピック買いなら、言い値から1〜2割引きが現実的なライン。数十枚〜ベール単位でロットをまとめると2〜3割引きまで乗ってくることがあります。現金即決はさらに強い交渉材料です。逆に、外国人と見るや最初の言い値を吊り上げてくる業者もいるので、この記事の相場表を「適正価格の物差し」として持っておいてください。

ひとつ文化的な注意を。タイでは、眉間にしわを寄せた強引な値切りは逆効果です。笑顔で、冗談を交えながら、相手の顔を立てつつ落とし所を探る。ムキになった時点で負けです。私は交渉が煮詰まったら一度「マイペンライ(まあ、いいさ)」と引いてみせます。すると翌日、向こうから折れてくることが結構あるんです。

流通段階で変わるタイ古着の価格:ロンクルア・バンコク倉庫・チャトゥチャックの相場差

タイ古着の価格は「どこで買うか」で劇的に変わります。カンボジア国境の一次集積地からバンコクの観光市場まで、同じ商品が流通段階を経るごとに値上がりしていく。この構造を知らないと、小売価格で「卸のつもり」の仕入れをしてしまいます。

リーバイス501を例に、私が実際に見てきた価格の変遷を示すとこうなります。

流通段階場所501の実勢価格円換算
一次卸ロンクルア市場(国境)150〜300バーツ約735〜1,470円
二次卸バンコク市内の倉庫・卸エリア250〜800バーツ約1,225〜3,920円
小売チャトゥチャック等の観光市場2,000〜3,000バーツ約9,800〜14,700円

国境から都心までのわずか250kmで、価格はおよそ10倍。この差額が、そのまま各段階のプレーヤーの利益です。

一次集積地ロンクルア市場:最安値だがベール・キロ単位が基本

カンボジア国境の町アランヤプラテートにあるロンクルア市場は、東南アジア最大級の古着集積地であり、タイ古着価格の源流です。バンコクから車で4〜5時間。ここでは欧米や日韓から届いたベールが開封され、キロ単位・ベール単位で取引されます。

価格は文句なしの最安値で、デニムなら1本150バーツ程度の実例もあります。ただしハードルは高めです。取引はまとまった量が前提、英語はあまり通じず、市場は広大で炎天下の体力勝負。通訳兼ポーターのアテンドを雇うなら1日1,500〜2,000バーツ(約7,350〜9,800円)が相場です。往復の移動で1日潰れることも考えると、少量仕入れのためにここまで来るのは割に合いません。ロンクルアは「量を買う人の場所」です。

バンコク市内の卸倉庫・卸市場:中間マージン込みでも効率的

ロンクルアで開封・選別された商品は、バンコク市内の卸倉庫や卸エリア(パタヴィコン、ボーベー周辺など)に流れてきます。価格はロンクルア比でおおむね1.5〜2倍。それでも私は、滞在日数の限られる日本人バイヤーには市内仕入れを勧めることが多いです。

理由は総コストです。移動時間、アテンド費、ロットの縛りを考えると、中間マージンを払ってでも市内で選別済みの商品を買うほうが安く付くケースが多い。特にアポイント制の倉庫は、選別済み在庫を空調のある環境でじっくり見られます。

倉庫仕入れのコツをひとつ。初回は誰でも「表の在庫」しか見せてもらえません。何度か通って関係ができると、「奥にいいのがあるよ」と別室の在庫を出してくれるようになります。私が同行するバイヤーさんがいつも驚くのはこの瞬間です。タイの倉庫の本当の品揃えは、奥にあります。

チャトゥチャックは「小売価格」:仕入れ場所ではなく相場観測の場

週末のチャトゥチャック・ウィークエンドマーケットは、古着好きには天国のような場所ですが、あそこはあくまで小売の場です。Tシャツ500バーツから、ジャケットは数千バーツ。観光客と現地の若者向けの末端価格であり、ここで仕入れて日本で売っても利益はほぼ残りません。

ではバイヤーに無用かというと、逆です。私はチャトゥチャックを「相場観測の場」として毎月歩いています。今どんな柄のTシャツが現地の若者に売れているか、末端価格はいくらか。チャトゥチャックの売れ筋とロンクルアの卸値の差を見れば、タイ国内の利幅も、日本に持ち帰るべき商材も見えてきます。買う場所ではなく、読む場所。そう割り切ると、あの市場は宝の山です。

タイ古着の日本着原価を計算する:関税・消費税・輸送費込みでいくらになるか

現地でいくら安く買えても、事業として成立するかは「日本に着いた時点の1枚あたり原価」で決まります。最後に、関税・消費税・輸送費を含めたランディングコストの計算方法を整理します。ここは貿易コンサルタントとしての本業領域なので、少し細かく書きます。

古着輸入にかかる関税と消費税:協定税率5.8%と簡易税率5%

古着(中古の衣類)のHSコードは6309.00です。税関の実行関税率表(2026年7月9日版)によると、WTO協定税率は5.8%。一方、課税価格の合計が20万円以下の輸入には少額輸入貨物の簡易税率が適用され、古着は「その他のもの」区分の5%になります。

押さえるべきポイントは4つです。

  • 課税のベースは商品代金だけでなく、送料・保険料を含んだCIF価格
  • 関税に加えて、消費税10%が別途かかる
  • 簡易税率が使えるのは一般貨物や国際郵便で送る場合のみ。スーツケースで持ち帰る商用品は携帯品扱いとなり、簡易税率は適用されない
  • 個人使用と偽った輸入申告は脱税行為。事業仕入れは正しく商用として申告する

なお、EPA(経済連携協定)を使えばさらに低い税率の可能性もありますが、原産地証明の手続きが絡むため、初心者のうちは5.8%(20万円以下なら5%)と消費税10%で見積もっておけば安全です。通関の実務や必要書類については、JETROのタイ輸出入手続きページも参考になります。

輸送手段別のコスト比較:ハンドキャリー・航空便・船便

輸送は量と重さで選びます。選択肢は実質3つです。

  • ハンドキャリー(スーツケース持ち帰り):追加受託手荷物で往復1万円前後。30kg程度までの小口向け
  • EMS・国際宅配便(DHL等):スピード重視。10kg超えあたりから重量課金が効いてくる
  • 海上輸送:100kg以上なら1kgあたり数百円まで下がる。納期は数週間

ここで効いてくるのがカテゴリごとの重量差です。Tシャツは1枚約200gなので航空輸送でも回りますが、1本600〜700gのデニムやアウター類を航空便で運ぶと、送料が商品代を食い潰します。重衣料をまとめて買うなら船便、少量なら渡航のついでのハンドキャリー。この使い分けが利益を守ります。

忘れがちなのが渡航費の按分です。航空券と宿泊で7万円かかったとして、100枚仕入れれば1枚あたり700円、300枚なら233円。仕入れ枚数が少ないほど、渡航費が1枚あたり原価に重くのしかかります。

モデルケースで計算:Tシャツとデニムの1枚あたり日本着原価

それでは、ここまでの相場を使って実際に計算してみましょう。1バーツ=4.9円、簡易税率5%適用のケースです。

項目ケース①Tシャツ100枚(ベール、1枚60バーツ)ケース②リーバイス501を20本(ピック、1本300バーツ)
商品代6,000バーツ=29,400円6,000バーツ=29,400円
輸送費(航空便想定)約15,000円(約20kg)約12,000円(約13kg)
関税(CIF×5%)約2,220円約2,070円
消費税10%約4,662円約4,347円
日本着合計約51,300円約47,800円
1枚あたり日本着原価約513円約2,391円

さらに渡航費7万円を両ケース合計120枚で按分すると、1枚あたり約580円の上乗せ。実質原価はTシャツ約1,100円、501は約2,970円になります。

この原価で、Tシャツを2,500〜3,000円で販売すれば粗利率は56〜63%。501を8,000〜10,000円で売れば63〜70%です。逆に言えば、Tシャツを1,500円でしか売れない販路なら、渡航仕入れでは利益がほぼ残りません。仕入れの成否は現地で値切れたかどうかではなく、この逆算が事前にできているかで決まります。

よくある質問(FAQ)

Q: タイ古着はなぜ安いのですか?

欧米や日本で回収された古着が、商業ルートで大量にタイへ集まるからです。カンボジア国境のロンクルア市場を核とした集積・選別の仕組みと、選別にかかる人件費の安さが低価格を支えています。タイ自体が「世界の古着の中継基地」なのです。

Q: タイの古着市場では言い値からどのくらい値引き交渉できますか?

私の経験則では、少量なら1〜2割引き、ロットをまとめれば2〜3割引きが現実的なラインです。ただし外国人向けに言い値を吊り上げる業者もいるため、先に相場を頭に入れておくことが交渉の前提になります。笑顔を保ちつつ、まとめ買いと現金即決を材料にするのがタイ流です。

Q: 買い付けの時期によって価格や品揃えは変わりますか?

変わります。コンテナ到着直後は良品が豊富ですが早い者勝ちです。ソンクラーン(4月中旬)前後は市場や倉庫が長期休業し、物流も止まります。雨季(6〜10月)は国境方面の移動に影響が出る日もあります。渡航前に、取引先へコンテナの入荷タイミングを確認するのが確実です。

Q: タイ古着に偽物(ブートレグ)はありますか?見分け方は?

あります。特にリーバイスとバンドT・ロックTは、ヴィンテージ風に加工した複製品が卸値500〜700バーツ帯にも紛れ込みます。タグの年代表記、ステッチ、生地の質感が基本のチェックポイントですが、いちばんの防御策は「相場より不自然に安いヴィンテージは疑う」という原則です。

Q: タイ古着の転売は本当に儲かりますか?利益率の目安は?

日本着原価に対して販売価格2.3〜3.4倍、粗利率55〜70%が現実的なラインです。SNSで見かける「利益率80%・月利50万円」といった数字は、良品だけがすべて売れた場合の計算が多い。B品ロス、売れ残り、渡航費の按分まで含めた実質利益率で計画を立ててください。それでも成立するなら、タイ仕入れは十分に戦える選択肢です。

まとめ

2026年のタイ古着仕入れを一言でまとめると、「相場知識の有無で仕入れ原価が2〜3割変わる市場」です。バーツ高と世界的な古着需要増で、何も知らずに歩いて安く買える時代は終わりました。それでも、カテゴリ別の相場表を物差しに、グレードの中身を見抜き、日本着原価から逆算して買う。この基本を守れば、タイは今でも日本人バイヤーにとって最良の仕入れ先のひとつです。

もし初めての買い付けで相場観に不安があれば、NIPPON47のような現地サポートを活用するのも手です。ただ、最後にひとつだけ。数字と同じくらい大事なのが、現地業者との信頼関係です。ナムチャイの心で長く付き合える相手を見つけること。それが、良い商品と適正価格への一番の近道だと、14年この市場を見てきた私は思っています。